† 走りたどり着いた先の扉を開けると、 ツンとした消毒薬の匂い、 そして、 「あれ、実織ちゃん?」 柔らかで一気に気の抜ける様な声が聴こえた。 「……吉、水さん…」 診療時間の終わった待合室で、 珈琲片手にカルテを眺める彼が、 驚いたようにこちらを向いた。 「すみません、遅くなっちゃいました」 院内用のスリッパに履き替えながら 私がそう言うと、 「まだそんなに走っちゃ駄目だよ。傷は?痛まない?」 うつむいた私の顔を、 吉水さんは心配そうに覗き込む。