「お待たせしました」 柔らかな声が聞こえ顔を上げると、 笑顔の世菜が、ドーナツの箱を私の方へと差し出していた。 告げられた代金を渡し、 ドーナツの箱を受け取る。 「ありがとうございました」 迎えてくれたときと同じ 元気な声で、 元気な笑顔で、 世菜が見送ってくれる。 遠くにいきかけた心を、 悟られないように、 「ありがとう、世菜」 〝笑顔〟で店を後にした。