「…実、織… 何か、実織にあったんですか?」 彼がオレのケータイ番号を知るはずがない。 だとしたら、 ツナグのは、 〝実織〟だけ。 『すぐ、出て来れる?今から言う場所まで来てくれないか?』 オレの質問には答えず、 言葉を続ける、吉水さん。 それが、答えだった。 「すぐ行きます!」 そう伝えながら、 オレは部屋のベッドに放り投げたままのライダースジャケットを掴むと、 足早に玄関へ向かった。