私はポカンとしてしまう。

 おふたりとも 私のことなんか、まるで忘れたように、世間話なんかしながら、ずんずんと歩いて行ってしまうんですもの。

 見失ってしまいそうで、私はあわてて提灯の明かりを追った。




 (もう、兄さまったら!せっかく利勝さまとふたりきりだったのに!)



 あっさり利勝さまを兄さまに取られてしまい、私はふくれっつら。

 仕方なく おふたりの後に続く。


 けれどしばらくして、何かおかしいことに気づいた。


 ………あれ?なんか、変。
 どうして利勝さま、兄さまと一緒に歩いているのかしら?


 兄さまが迎えに来てくださったのだから、私を渡してお帰りになればいいのに。

 けれど兄さまも、利勝さまがついてくるのを気にされる様子もなく、普通にお話しされてる。


 どうしてかしら?

 気になるけど、おふたりとも戸外だから、お尋ねしてもお答えしてくださらないような気がする。


 ひとりだけ腑に落ちない私は、ただただ首をひねる。