お姫様に花束を

リオンside


カノンのことが……好き。


そう言おうとしたのに……カノンに止められた。


震えた声で……何かを堪えるように。


「カノン……?」

「っ……それ以上聞いたら……私……」


……カノンは俺から目をそらし……顔を歪めた。


カノンの瞳から……一粒の小さな涙がこぼれ落ちた。


「カノン……」


……俺はカノンの頬に手を伸ばし、親指で涙を拭ってやる。

すると、カノンは潤んだ目で俺を見た。


「っ……私……」

「……いいよ。何も言わなくて……」


……そう言って、カノンの頭を自分の胸へと引き寄せた。


……何となく、分かる。

カノンが何を言いたいのか……。

なぜ、俺の言葉を止めたのか……。


……分かってる。

……俺とカノンでは住む世界が違いすぎる。