「ウェルスさん……カノンに何か用があったんじゃないの?」

「……かもね。
こういう時に限ってノックしないんだから……」


私はゆっくりとベッドから立ち上がった。


「起きて平気か?」

「うん。
よく寝たから。
……それに、まだやらなきゃいけないことたくさんあるし」


まだまだ仕事はたくさんある。


「……無理するなよ」

「……ありがとう」


私は小さく微笑んで、部屋のドアノブに手をかける。


……ドアを開ける前に私は振り返ってリオンを見た。


「……ね、リオン」

「ん?」


リオンがまっすぐ私を見る。


……その目を見て、私は口に出しかけた言葉を飲み込んだ。


「……ううん。
何でもない」


……そう言って、私はドアを開け……静かに部屋を出た。