すると、コンコンと部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
「失礼します」
入ってきたのはウェルスさんだった。
「どうしたの、ウェルス」
「カノン様、大臣からお電話です。
何でもこの前の議会について、お話したいことがあると……」
ウェルスさんがそう言うと、カノンは面倒臭そうにため息をつきながらゆっくり立ち上がった。
「……すぐ行く。
エリック、リオンに変なこと吹き込まないでよ」
「はいはーい」
カノンはウェルスさんと共に俺の部屋から出ていった。
パタン、と扉が閉まると、エリック様はニッと白い歯を見せながら何やら楽しげな顔を浮かべて俺を見た。
「それで?
実際のとこはカノンとどういう関係なんだ?」
「実際のとこって……。
本当に何でもないんですよ」
「そうなの?
なーんだ……残念」
エリック様は本当に残念そうに息を吐いた。
「何でエリック様がそんなに残念がるんですか?」
「何でって……。
……嬉しかったんだよねー。
カノンに貴族でも何でもない君との熱愛報道が出て」
「え?
それ……どういう意味ですか?」
意味が分からず聞き返すと、エリック様は肩をすくめて笑みを見せながら口を開いた。
「気を悪くしたらごめんね。
でも、まさか庶民との熱愛がスクープされるなんて思ってもみなかったからさ。
まぁ、実際は誤解だったみたいだけど……。
それでも、カノンに気を許せる相手ができたんだって思ったら嬉しくて」
そう言うと、エリック様はまるで自分のことのように嬉しそうに笑った。

