病室の扉が勢いよく開く。
入ってきたのは……
「国王様……?」
たまたま扉の近くにいた俺と勢いよく中に入ってきた国王様の目がばっちりと合った。
「リオン君!」
国王様は俺の肩を掴み、ガクンガクンと体を揺さぶる。
「カノンは!
カノンは無事なのか!?」
「いたっ……ちょっ……国王様……」
頭が……脳みそが揺れる……。
「あの子に何かあったら……。
ロイもいなくなって、カノンまで失ったら私はどうしたら……!
どうしたらいいんだ……!」
「……国王様……」
……国王様の目には先程の王妃様と同じく……涙が……。
「……お父様。
私は無事です」
見兼ねたカノンがベッドから声をかけると、国王様はその声に反応してすぐさまベッドへと駆け寄る。
「カノン!」
国王様は力強くカノンを抱きしめた。
「あなた……今日はタナティーユ王国を訪問しているはずでは?」
王妃様が国王様の姿を見て驚いたように声をかける。
「そんなの後から何とでもなる!
だが……この子は……この子の命は……何にも変えられない」
国王様……。
「……お父様……私……」
「……何も言わなくていい。
お前が黙ってここに来た理由は分かっている」
「お父様……」
「……すまなかった」

