「……写真、見た。
家族四人で写ってる写真が別荘にあった」
「……そう。
あの時の写真が……。
……あの時。海に遊びに行った時にね、ちょっと目を離した隙にカノンが勝手に海の方に行っちゃって溺れたのよ」
……エリック様が話してた。
国王様が大変だったって……。
「すぐにお父様があなたを助けたんだけど……お父様、そのことをすごく気にしてね。
大変だったのよ」
「大変って……?」
カノンが尋ねると、王妃様は小さく口元を緩めた。
「自分のせいだって、責め始めて。
自分がちゃんとカノンを見てれば、なんてずっと言ってたわ。
……まぁ、確かにその通りなんだけれど。
その後からかしら。
自分の目の届かないところ以外では絶対に海には入れさせん!って言い始めて。
さすがにそれはやりすぎだって言ったんだけど……あの人、一度言い出したら聞かなくて」
……だから、カノンが海に入ったのはあの一度きりしか……。
「それにカノンは好奇心旺盛な子だったから、その頃からすぐに城を抜け出そうとしてたでしょう?
それをお父様はすごく心配されていて……。
勝手に外に出てもしも何かあったら……なんて具合に」
「……お父様は私を心配して……?」
王妃様はゆっくり頷く。
「それからお父様は思ったの。
カノンを守るためにやはりもう少し厳しくした方がいいんじゃないか。
少し甘やかしすぎなんじゃないかって。
……それからね。
私達がカノンに厳しく接するようになったのは」
……じゃあ……国王様と王妃様がカノンに対して厳しくしてたのは……カノンを守るため?
カノンが大事だから……。

