お姫様に花束を


「……でも、だからって……あの場所に建てることは……」

「……はい。
ですから、私はこのプロジェクトを即刻中止にするよう国王に訴えたいと思います」

「カノン様……」

「……すぐにというのは難しいと思います。
……ですが、私もこの町の自然を守りたいんです」


カノンがまっすぐ町民達の方を見る。

町民達もつられるようにカノンを見つめる。


「昨日、今日と私はこの町の自然をこの目で実際に見てきました。
この町だけにしか見られないナツメザクラ……この国一番ともいえる綺麗さを誇る海……川沿いにズラッとならんだ紅葉……。
都市では滅多に見ることのできない素晴らしい景観でした」


カノンはキリッとした表情で……王女らしく、町民達に一言一言をしっかり伝えていく……。


「私はこの町を観光地としてこの国の人々に……海外の人にも知ってもらいたいです。
ですが、それは人の手でできた観光地ではなく……自然の力でできた、二つと作れないような場所として」


カノン……。


「本当に……できるのか?
そんなことが……本当に……」

「でも……できたら、すごいよな」

「あぁ……昔みたいにまた賑やかになったら……」