町民達がみんなカノンに注目する。
それでもカノンは町民一人一人を見渡し、臆することなく話し始めた。
「……まず、私は皆さんに謝罪しなければいけません。
私達が施設の建設を予定していたあの地……。
私は今日、その建設予定地を実際にこの目で見て来ました」
町民達の目が驚きに満ちたものに変化する。
カノンはそんな町民の表情を見て小さく微笑む。
「……とても綺麗な花畑でした。
私は今まで、あんな綺麗な花畑を見たことがありません。
この町が誇るべき場所だと思います」
……俺も初めて見た。
あんな綺麗な花畑………。
カノンのおばあ様のお気に入りの場所だったというのも納得だ。
「……ですが、私達はそんな大切な場所を壊そうとしました。
知らなかったとはいえ……もうすぐで大切な自然を壊してしまうところでした。
……これでは皆さんに責められても仕方ありません。
……本当に申し訳ありませんでした」
カノンが町民に向かって深々と頭を下げる。
そんなカノンを見て町民は戸惑いの表情を見せる。
「謝ったって……どうせそのまま工事進めるんだろ……」
どこからかそんな声が聞こえる。
そうだそうだ、という賛同の声も。
「……私は……………」
カノンはまっすぐ町民を見つめる。
そして………
「……私は……即刻中止すべきだと思っています」
カノンのその言葉を聞いて……辺り一帯がしんと静まり返った。

