お姫様に花束を



エリック様にとってカノンとロイ様は本当に大切な存在なんだと思う。

ロイ様のことを話しているエリック様は楽しそうだったし……カノンのことを話している時もそう。


エリック様はカノンのことを妹みたいに思っていると言っていたけど、傍から見ても本当に兄妹のように思える。


……きっと、ロイ様が生きていらっしゃったら……。

俺は頭の中にロイ様とカノンの兄妹の中にいるエリック様を思い浮かべる。

まるで三兄妹のような光景。


そんな光景を思い浮かべて、俺の頬は思わず緩んだ。



カノンにもエリック様が教えてくれたことを伝えなくちゃ。

俺はケータイをテーブルの上に置いて立ち上がる。


そろそろ上がる頃だよな。


俺も風呂に入る準備をしておこう。


そう思って俺が部屋を出ようとした……その時だった。



「出てけー!!」

「この町からさっさと出ていけ!!」



……外から大きな声が聞こえてきた。