お姫様に花束を


《って……今はロイへの報告よりも城の状況の方伝えなきゃな》

「……やっぱ大騒ぎですよね」

《まぁ、王女が一日帰ってこなかったらそりゃ大騒ぎでしょ。
もしマスコミにバレたらあらぬことを報道される可能性もあるし》

「あらぬことって……」

《とにかく。
お前達はまだそこにいるつもりなんだろ?》

「……はい。
少なくとも明日までは……」

《二日続けて無断外泊か……。
国王様はお怒りになるだろうな。
その辺は覚悟しておけよ》

「はい。
最初から全部覚悟してます」


じゃなかったらここまでついてこない。

最悪の事態も頭に入れている。


《ははっ!
本当、大したヤツだよ。お前は。
……ま、きっと城の方でも直にカノンの居場所は特定されるだろう。
遅くても明日か明後日にはそっちに追手が行くだろうから……カノンにもちゃんと伝えておけよ》

「……はい。
ありがとうございます」

《それまでは二人でイチャイチャして楽しんでな。
ははは!》

「ちょっ……エリック様!?」


ツー、ツー……と空しく鳴る電子音。


……切られた。


本当に自由な人だ。


……でも。

……わざわざ俺達のこと心配して掛けてきてくれたんだよな。