お姫様に花束を


「……私……楽しそう……」


カノンがそっと写真の中の自分を指で撫でる。


「……そうだな。
ロイ様も……国王様も王妃様も……みんな楽しそうだ」


きっと……これが本来のミースト家の姿なんだ。

今はちょっとあれだけど……きっと本当はこの写真に写ってるみたいな温かい家庭で……


「私……両親のこんな表情……初めて見た……」

「……優しそうだな。
二人とも」


我が子を見つめるその表情をはとても慈愛に満ち溢れている。


「……なぁ、カノン」

「ん……?」

「国王様と王妃様と……ちゃんと話、してみたら?」

「え………」


カノンが驚いた表情で俺を見る。

俺は肩を抱いたままそんなカノンの頭を優しく撫でる。


「……ケンカしたまま城を飛び出してきたんだろ?
……だったらちゃんと仲直りしなきゃ」

「……でも……」


カノンは視線を下に向けて戸惑ったような表情を見せた。