お姫様に花束を


中に入ると、そこはとても綺麗だった。

木を基調とした家具が置かれ、本当に自然の中にある家みたいだった。


「ここが王家の……」


カノンはゆっくりと中を見渡す。

でもやはり覚えていないようで微かに首を傾げていた。


「でも、思ってたよりも埃とか被ってないな。
つい最近まで誰か使ってたとか……」


俺がそう言うと、ゲンさんは首を横に振った。


「いや。
最後に王家の方がここを使ったのは十八年前じゃ。
それから今日まで誰もここを使っとらん」

「え?じゃあ、どうして……」


何でここはこんなに綺麗に……


「わしが時々ここに来て掃除しとるからじゃよ」

「ゲンさんが?」


カノンが驚いたようにゲンさんを見る。

ゲンさんはゆっくりと頷いた。


「わしはまだ管理人という役を下ろされたわけじゃないからの。
職務は最後まで全うする。
いくら今の王家がわしらの敵でもな」


ゲンさん……。


「……ありがとうございます」


カノンがゲンさんを見て小さく笑みを見せながらお礼を言う。

……ゲンさんはカノンから視線を少しそらして、小さく頷いた。