お姫様に花束を


「私……ずっとお城暮らしだから。
そういうの……ちょっとよく分からなくて……」


カノンは苦笑いしながらそう言った。


「あ……だから外に出たいって……」


カノンは苦笑しながら小さく頷いた。


「本当はね、もっと自由に外に出たいの。
外に出て……もっと国民の暮らしを理解したいの。
国民のことをきちんと理解せずに国民のためにより良い国を治めることなんてできないでしょ?」

「それは……まぁ……」


国を治める……。

……そうか。

カノンは王位継承順位第一位。

次期女王になる。


改めて考えると、すごい遠いところにいる人なんだよな……。


「……でも、国王様はそれをお許しにならない。
私のことを信用してないの」

「信用してないって……」

「……初めから期待されてない子供だったからね。
私は」


……そう失笑したカノンは……さっきまでの表情からは想像できないほど、寂しそうな顔をしていた……。


そんな時だった。


「あ、リオン!
今ちょうどコロッケ揚がったところなんだよ!
食べてかないか?」

「おっちゃん……」

「おっちゃん?」


声のした方を見れば、肉屋のおっちゃんが笑顔で手招きをしていた。


「コロッケ……?」

「食べる?」

「……うん!」