「あら、お嬢ちゃん」
突然話しかけられ、体が硬直した。
振り返ると、そこには優しそうな中年の女性が立っていた。
「どうしたの?
何か浮かない顔してるわね」
「え……」
私が少し驚いた顔をすると、女性は私に向かって優しく微笑んでいた。
「おいで。
良い物あげる」
良い物……?
私が首を傾げると、女性は手招きをしながらパン屋の中へと入っていた。
私も不思議に思いながら店内へと入った。
すると……
「わぁ……良い匂い……」
綺麗に並べられたパン。
そして、店いっぱいに広がる焼き立ての良い香り。
私にとって初めての感覚だった。

