お姫様に花束を



昼間の商店街は活気が溢れていた。

今の私の心とは大違いだった。


私は自嘲気味に小さく笑って、商店街の中を歩み進めた。


花屋、ケーキ屋、魚屋、八百屋……。


一つ一つゆっくりと見て行く。


笑顔でお客さんに接する店員。

そして、目当ての物を手に入れて嬉しそうなお客さん。


それは私の身近にはない光景だった。


私の周りにいる人と言えば、私のご機嫌をとる大臣達や陰でコソコソ悪口を言う親戚達。

そして、私の座を狙う者もいる……。


そんなしがらみだらけの王室で育ってきた私にとって、今見ている光景はとても新鮮で……


ゆっくり、ゆっくりと歩いていく。

すると、ふと香ばしい匂いが漂ってきた。


この匂いは……


私が匂いの元をたどって行けば、そこはパン屋さんだった。


「焼き立てパン……」


それはガラス越しに外から見ているだけでとても美味しそうだった。