私はウェルスが持ってきてくれた麦茶を飲みながら、窓の外を見た。

ここから景色を見るたびに感じる……寂しさ。


「ウェルス……」

「はい、カノン様」

「……私はここから出ることは許されないの?」

「カノン様……」


声だけでウェルスが困っているのは分かる。


ごめんね、ウェルス……。

いつも困らせてばかりで……。

でも……


「もしお兄様が生きていたら……私は……」

「カノン様……おやめください。
ロイ様はもう……」

「……分かってる。
分かってるけど……。
……お兄様が生きていたら、私なんて必要なかったもんね」

「そんなことありません!
国王様も王妃様もカノン様のことを本当に愛していらっしゃいます」


愛して……か。


「愛って……何だろうね」


そんな私の小さな呟きが聞こえたのか聞こえなかったのか……ウェルスは何とも言えないような顔で私を見ていた。