お姫様に花束を


「それで……リオンは本当にカノン様と付き合ってるのか?」

「え……」


……そうだよな。

……やっぱりそこは気になるよな。


「……まさか」


……苦笑しながらそう言った。

自分でそう言ったのに……なぜか胸が苦しくなった。


「相手は王女様だぞ?
そんなことあるわけ……ないだろ」

「リオン……?」


……そうだ。

今までのは全部……夢を見ていたようなものだったんだ。


だから……俺は元の生活に戻れば……それでいいんだ。


……もう、忘れよう。

忘れた方がいい。


彼女の笑顔や温もりも……全部。