「……何しに来たの」


自然と口調が冷たくなる。

ディランはそれに構わず私の前に立つ。


「心配してたんだ。
夕食会の後にあんな報道が出たから……」

「……あれは……」

「分かってるよ。
マスコミはすぐ大げさに報道するから。
カノンが庶民なんかと付き合うわけないもんな」

「……庶民"なんか"ってどういう意味?」


私が少し睨みながらそう言うと、ディランは特に気にした様子もなく口を開いた。


「どういう意味って、そのまんまだよ。
王女と庶民じゃ住む世界が違いすぎる。
釣り合わないんだよ。
低俗な庶民とじゃ」


軽くバカにしたようにディランがそう言う。


……何なの、その言い方。


「低俗って……。
そんな風に人を蔑むあなたの方がよっぽど低俗だと思うけど」


私がそう言い捨てると、ディランは少し驚いたように目を見開いた。