悪いのはわかってる。 わかってるけれど。 …来てくれたことが嬉しかった。 部活よりも先に、優先してくれたことが嬉しかった。 ―――もう、それだけで十分だ。 「…私さ、そういう部活に熱心な所が好きだった」 「…は?」 「人にも妥協しないけれど、自分にはもっと、決して妥協しない、そんな真っ直ぐで、真剣な姿勢を見せるあなたが好きだった。 だから付き合ってた」 「…沙織?」 好きだった。 好きだったんだよ。 そんな真っ直ぐな、尚樹【なおき】が。 好きで、好きで、堪らなかった。 けど。