「あ~…。雨、振ってるし」 最悪なことに、今日に限って傘を家に忘れてしまった。 雨は、すごい勢いで振っていて当分降り止みそうにない。 「……はぁー」 つい、またため息をついてしまう。 「ため息ついてたら、幸せ逃げるよ?」 「……柏崎先輩、お久しぶりです」 ビニール傘を片手に、ぶすっとした顔の柏崎先輩。 「最勝寺さん、傘忘れちゃったの?」 ぽんっと傘を開いている柏崎先輩。 「あ、はい…」 下を向いていると、急に柏崎先輩が私に傘を差し出してきた。