「ねえ、どうしたの? わたしを、ずっと守ってくれるんじゃなかったの?」

目の前に、彼が現れた。

「あんなやり取りを見せられて、そんなことできるか」

あんなやり取りって…?

わたしは必死に抵抗する。

「あの指輪を返して、あれはわたしの宝物よ。あなたに奪う権利はない」

「宝物か。そんなもん、あいつにもらったらいいだろ」

あいつって、あの人のこと。

わたしは、理解した。

さっき、ふたりは握手をした。手に触れた。それが原因。

空き地でのやり取りを見てたんだ…