わたしは、彼に殺されてよかった。
覚悟もできていた。

もう、何の迷いもなかった。

でも、やっぱり…

わたしは、死ねなかった。
あと少しで、あなたのとこに行けたのに。

目の前で、彼は消えた。

…影も消えた。

取り残されたのは、

わたしひとりだけ。


わたしは落ちていたナイフを

右手で拾いあげた。

そして…

ナイフの刃を自分の胸元に向けた。