オサムN「マアサが橋の上で倒れたあの日。




そのことを僕は今もはっきりと覚えている。




彼女のためにしてあげられることが何もないと知った無力感。




彼女を背負って走る間に感じていた言葉では表せない気持ち。




全ての感情がごちゃまぜになった胸は苦しく、その日の夜は眠れなかった。





それから僕達は毎日ハトばぁの家に集まり、マアヤが監視する中で宿題をやり、




みんなで持ちよったお弁当を食べ、ハトばぁの孫を探し続けた。




あてもなく小さなこの町を歩き回った。




ハトばぁが見えるからといって、孫のモモカが見えるとは限らないのに。




僕達と一緒にいる時、マアサは一人でぼーっとしていることが増えた。




遠くを見つめるその横顔を僕は何も声をかけられずに見つめる。




そんな日々を過ごした小学生最後の 夏休み。




ずっと楽しみにしていた祭りの日が来た。いつもとは違う、夏祭り」