曖昧ショコラ【短】

「しかも、俺を軽薄な男みたいに言いやがって……。俺は好きな女しか抱かねぇんだよ」


恨みを込めたような声で呟いた篠原が、綺麗な指で摘んだチョコをあたしの首筋に擦(ナス)り付けた。


「……っ!」


「だから、お前の気持ちを聞かせろよ。言っとくけど、この期に及んで『わからねぇ』とは言わせねぇぞ?」


篠原は逃がさないとでも言うように、あたしの瞳をじっと見つめている。


至近距離で見るには刺激が強過ぎる綺麗な顔と状況を把握した思考が、血液が沸騰してしまいそうな程の熱を与える。


反して篠原は、いつもの憎らしくて余裕たっぷりの笑みを浮かべていた。