処女作から読み続けて来た篠原の作品を、初めて嫌いだと思った。


言葉にすれば呆気ない程に短いけど、【失恋ショコラ】は“嫌い”。


だけど…


大嫌いとまで思えないのは、こんな気持ちになっても尚、篠原の作品の虜だから…。


あの情事を思い出しては居た堪れなくなり、それまでと変わらない振る舞いの彼に最初のうちは戸惑った。


それでもやっぱり篠原櫂への尊敬の念は消えなくて、彼の作品が好きで好きで堪らなかった。


結果として、自分がただの作品の材料だったとわかった今は、虚しくて堪らないのに…


あたしは、篠原櫂の世界が好きなのだ――…。