『ヒロインのモデルにしたい女がいるから』


この作品のプロットを受け取った時、篠原にそんな風に想われる女性(ヒト)を羨ましいと思った。


誰なのかわからない女性(ヒト)に、あたしは確かに羨望(センボウ)の情を抱いていた。


だけど…


その女性(ヒト)こそが自分(アタシ)だったのだと知った今、そんな気持ちを抱いていた自分をバカだと思ってしまった。


ただただ、悔しい。


だって…


あたしの人生最大の失態の夜を、篠原にネタにされてしまったのだから…。


彼にとってのあの夜は、ただ作品を生み出す為の時間でしか無かったのだ…。