『明日、絶対に感想を聞かせろ』


篠原が浮かべていた、意味深な笑み。


『まぁ、お前にとっては難題になると思うぞ』


何かを含む、言葉。


『そもそも、お前が最後まで読めるかが問題だな』


悪戯を隠したような、表情。


『じゃあ、俺を満足させるような感想を期待してる』


綺麗な顔を崩した、心底楽しげな笑み。


篠原が紡いだ言葉達も、彼が見せた表情も。


今となっては、その全ての意味が理解出来る。


感想なんて、言えない。


崇拝する程の作家が描く作品のヒロインになれたのに、どうしても素直に喜べない。