数日後、あたしは南川高等学校の職員室にいた。



「じゃ、ここに名前とか、生年月日とか、書いてね。」

そうあたしに言ったのは校長先生、大山香苗(おおやま かなえ)だ。


「・・・はい。」


ひとつ返事をして書き始める。



この学校があたしの新しい学校か・・・。


もちろん、あたしのことを知っている人なんていないだろう。


“カタナ”は知っていても“あたし”は知らないだろう。


あたしが“カタナ”になるときは変装してたし・・・。



「書きました。」


「よし。じゃちょっと学校の説明しよっか。
 この学校は知っての通り、不良校で有名なの。ガサツな男ばっかり。共学校にしても女の子は来ない。だからね、ホントあなたには感謝してるわ。」

「いえ、そんなことは。」

「相談事は私にしてちょうだい。」

「はい、ありがとうございます。」

「男どもに襲われないように、ね♪」


襲われても返り討ちにしてやるさ。


なんてことは口にせず、ただうなずいておいた。