「「「「蝶っ!!!!」」」

皆の声が聞こえる…

「……は…やく…八木低…に…」

そして私は腕を伸ばした。

「……山崎さん…が…一人で…」

戦っているの…

早くしないと、山崎まで…。

「…私は…いい…か…ら…早く…」

皆、お願い…

「っ!!蝶をほって行けるわけねぇだろ!?」

土方さん…

「…だ…いじょうぶ…。私は…死なない…。だ…から…」

私は死なない。

「っ!!…誰かっ、誰かいねぇか!!?」

土方さんが大きな声で叫ぶ。

そしてバタバタと平隊士が2、3人出て来る。

「副長、なにか…?…!!!」

隊士はあまりに酷い蝶の姿をみて驚いているようだ。

「俺達はどうしても行かなきゃいけねぇ所があんだ。いいか、何がなんでも蝶を死なせんじゃねぇぞ!!!」

土方はそれだけ言うと屯所を飛び出していった。

それに続くように近藤、そして原田、藤堂、永倉、斎藤と…。

「…蝶ちゃん、絶対死なないよね…?」

ただ一人残った沖田の手を蝶は力なく握った。

そして小さく頷いた。

沖田は覚悟を決めたように刀を握ると、

「蝶を、頼んだ!!」

そして屯所を飛び出していった。

(…どうか、どうか無事で…)

そこで蝶の意識は途切れた。