幕末桜

「…愛しなさい…、信じるのよ……そうすればきっと……偉大なる力が生まれるわ……」

桜姫様…………

「蝶……、」

桜姫様が私の名を呼んだその瞬間私の意識が途切れた。

桜が舞い、私は意識を手放した。

それからどれほど時が経ったのだろう…?

私がようやく目を開けたその場所は、見慣れた己の部屋だった。

枕元には酷く疲れたお顔をした母様と、同じく疲れたお顔をした父様がいた。

「蝶っ!!!私が分かる?」

母様…

「母様…、父様…」

「蝶…あぁ良かった…。もう二度と目を覚まさないかと思ったよ」

父様が何故か涙を流している母様を抱きしめた。

「父様…、私は…?」

「あぁ、話をしていたら急に倒れてね、それから五日間ずっと寝たきりだったんだよ。」

五日間も…?私、そんなに寝むっていたの…?

「父様、母様、もしやその間ずっとお傍におって下されたのですか…?」