幕末桜

この子は、仮にも間者かもしれないんだよ?

それなのに……

僕が自分と格闘していると、土方さんが聞いた。

「間者か……?」と。

その場が静まり返る。

もし…間者なら僕達は君を斬らなければならない。

「……あのぉ……」

その子が気まずそうに口を開いた。

そして………

「…私…どこも悪くないんですけど……」

…………へ?

僕は言葉を失った。

この子、‘間者’の事を‘患者’だと思ってるんだ……

そう理解すると僕は一気に笑いが込み上げて来た。

(この子……絶対間者じゃない………)

土方さんもこの子は絶対間者じゃないと確信したようだった。

僕はそっと胸をおろした。