蝶は相当興味を持ったのか、読みたいと言い出した。

それを止める権利は無い。

ただ…

俺は少し戸惑ったが、すぐに返事をした。

「部屋でじっくり読むといい」
と。

すると蝶は俺に礼を言ったあと、部屋を出て行った。

…時が来たのか……。

蝶と別れる時が…。

…桜姫様と蝶が夢の中で会っている時、俺と美緒莉は決心したんだ。そして覚悟もした。

…蝶との別れを。

蝶は桜姫様。

俺や美緒莉よりも偉大な力を持っている。

その力は、歴史さえも、人の運命さえも変えられる。

…蝶の前世、桜姫様は託したんだ。

蝶に…、彼らを救う事を。

新撰組を歴史の荒波から救う事を−……。