幕末桜

父様と母様は少し驚いた顔をしたがすぐにいつもの優しい顔にもどった。

「おかしな事を聞くのね。貴方は私達の大切な、大切な娘よ。ずっと傍にいるわ。ねぇ、桜河?」

母様が微笑んで言った。

胸が熱くなる。

「あぁ、そうだ。たとえどんな事があっても俺達はずっと一緒だよ」

「…っはいっ!!」

私はいつのまにか涙を流していた。

そんな私を二人は温かく抱きしめてくれた。

私、こんな二人の娘に生まれて本当に良かったよ…

「…蝶、君は桜姫様に会っていたんだろう…?」

父様…、何故それを…?

そうか、桜姫様が言っていたもんね…

ご両親の力だって…

「はい…。桜姫様に教えて頂きました。桜姫様は私の前世だと…」

「そうか…。すまなかったな、蝶。今まで黙っていて…」

父様がすまなさそうな顔をして私に言った。

ふと母様を見てみると父様と同じような顔をして私を見つめている。