「そうか……なら良い」


世多警部が心配するのも無理は無い。

何てたって、これは私が警視庁の刑事になって初めての事件なのだから。


「それでは15分の休憩後、判決を出します。それでは、休廷」


裁判長が退出すると、傍聴席もたちまち空になっていった。

結局、傍聴席に残っているのは、私と世多警部、そして、私の左隣に座るフードを深く被った青年だった――