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ステージ袖に転がるようにはけて
四人揃って顔を見合わせた。

腕と膝はガックガクで
粒状の汗がボタボタと零れ落ちる。


――熱い。

焼けるように心臓が燃えたぎって
まだステージの余韻で
色んな感覚が麻痺しまくってる。


俺ら全員きっと同じ気持ちで
自然発生的に円陣になって
抱擁とかしちゃったり。

お互い汗まみれでぐちゃぐちゃなのに
不快とか全然感じなくて
とにかく夢のような時間を
作り上げる事が出来たのが嬉しくて。


「やべー楽しすぎた。
今なら空だって飛べそうな気がする」

「ふっ!馬鹿かテメェ。
つか聞いてたのと全然
話、違うんだけど」

「まあいいじゃん、
結果楽しかったんだし」

「せやで。
今日は飲むで〜ぶっ倒れるまで」


そうしてタオルでガシガシ頭を拭きつつ
ステージの機材の片づけをする前に
着替えの為に楽屋に向かったら
俺らの背中にシンの声が届いた。


「あの……さ、……」

「あぁ、お前着替え持ってないよな?
もちろん俺の貸すし」


楽屋の片隅に立ち言葉を濁すシンに
鞄から取り出した白のロンTを放り投げる。

手の中のそれを数秒眺め、
でも素直に着替えたシンは


「いや、だから言いたいのは
その事じゃなくてさ」

「は?何?
つかお前俺の服、
俺より着こなしてんじゃねーよ」

「はは、ほんまや。
確かにスタイルやったら
お前よりシンのがええもんな?」

「うっせーよケンゴ!!」


事実だからよけい頭にくる。

なんかそこにいるだけで西洋の風
吹いてきそうな風貌だしコイツ。


「で、お前の言いたい事って?

――“契約書”のことなら大丈夫だよ。
ここにヤローが三人もいれば
300万ぐらいどうにかなんだろ」

「え?」

「せやで。
もうすぐ学校も休みんなるし
全員で集中して稼ぎまくれば
そんな無理な金や
ないような気がしてきたわ俺も」

「…………」