「離して」 だから、もう…逃げたくない。 「弥生ちゃん?」 「これは、えーちとの問題。ヒナは……黙って見てて」 そう言って今度は無理やりじゃなく、優しくヒナの腕を掴みほどいた。 そして歩いていく僕をヒナは 追いかけてはこなかった。 ただ真っ直ぐ、前だけ見つめて歩いた先には僕のことを待つ後輩だけ。 後輩だけを視界に入れて 体育館に足を踏み入れた。 「遅かったっすね。弥生せんぱい」 八重歯が見える笑顔が今は可愛くないね、瑛知。 「フツーでしょ。えーちは緊張して早く来すぎたって感じだね」