放課後の中庭。

ここで読書をするのが好きで、まだ入学して二日しか経っていないがここにくるのが日課のようになってしまった。


ちなみに部活は今はまだ仮入部期間なのだが、私はまだ入る部を決めていなかった。

まぁ、部活が強制ではないから入らなくてもいいんだが・・・

私は、スポーツは好きだがやるより観る方が好きだから、運動部には入らないつもりだが、体育館からボールの跳ねる音が聞こえたため、気になって体育館へ向かった。





「・・・わ、すご・・・」

思わず口から出た正直な感想だった。
体育館で部活をしていたのは男子バスケットボール部と、コートの半分をネットで仕切った境に女子バスケットボール部。
体育館の扉を少しあけ、隙間から見ただけでもわかる。

この高校、バスケ強いんだ・・・

華麗に決まるシュート、吸い込まれるように正確に渡るパス・・・

綺麗だな、と思った。


ずっとそのまま見ていると、男バスの人と目が合った。って・・・あれ、まさか。

「あれ、麻子っちゃん?」

・・・やっぱり。

手を振りながらこっちへと向かってくる佐々木。やめろ、来るな

「奇遇っすねー!もしかして、バスケ好きなんすか?」
「・・・まぁ、見る専門なら・・・」

うう、体育館にいたギャラリーからの視線が痛い・・・

「へぇーっ!そうなんすか!面白いっすよね、バスケ!」
「・・・あぁ」

コイツ、こんなに身長高かったのか。私の身長は佐々木の肩あたりだった。

「・・・お前、身長何センチだ?」
「ん?あぁ、俺は確か180ー・・・3?くらいっす」
「・・・ふぅん・・・」

改めて佐々木の顔を見ると、以外と顔が整っていて・・・なるほど、モテるのが少しわかった気がした。

「え、何、惚れた?」
「平手と拳骨どちらか選べ」
「すいません嘘ですすいませんでした」

その場で土下座する佐々木。コイツにはプライドってものが無いのか・・・

でもまぁ、

コイツは、見た目に寄らず面白いやつかも知れない。

「ふふ・・・」
「・・・あ、笑った!」

「・・・え?」

笑った?

「なーんだっ、いっつもむすーっとしてるけど、笑ったら凄く可愛いじゃないすか!いつもそうしてればいいのにっ」

「かっ、可愛くなどない・・・!」

生まれて初めて、両親以外の人・・・しかも男に、可愛いって言われた。
まだ、出会って一日しか経っていないのに・・・コイツに、どんどん引き込まれているような気がする。


このモヤモヤした気持ちは、一体なんなんだ・・・?