一度俺の家に帰ってかばんをおいてまた2人で出かけた。
海までは自転車で20分。
海までの道もあまり坂がない。
そんな道を進むとだんだんに海が見えて来る。
今日も海が太陽の光に反射してオレンジ色にきらきらと光っていた。
いつも通り海岸より高い位置にある自転車置場に自転車をおいて、海岸から少し先の港へ向かった。
海の向こう側からちょうど帰ってくる1隻の船。
「きっとお父さんだ!おーぃ!」
といって亜梨紗は手を大きくぶんぷん振りながら叫んだ。
港に船が着くと亜梨紗のお父さん、透(とおる)さんが船からでてきた。
「亜梨紗、遼、今日もお迎えありがとな。」
そういって俺達2人の頭をぐしゃぐしゃと乱暴になでた。
「もぅっ!お父さん!髪ぐしゃぐしゃ。」
そういって亜梨紗は笑った。

