【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

そんなに簡単に、俺に理由を話すわけがない。


「あいつが話すわけねぇだろ…」


「…まあな」


聖夜はまた遠くを見つめた。


俺も軽くため息をついて、桜並木に目をやった。


苦しみなんて…そんなに簡単に人に話せるもんじゃねぇんだよ…。


それを痛いほど知ってるから…。


無理に聞き出そうなんて思わない。


きっと聖夜もそれをわかっている。


うららかに舞う桜の花びらは、儚くて美しくて…そして切ない。


それはまるで…。


美桜そのものを連想させる。