【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

小さい頃から、母親は子供のあたしより、父親がなにより優先。


だから両親に会っても、かまってもらったことなんてない。


「わかったよ…」


あたしが言うと、電話はすぐに切れた。


そんなに仕事のほうが大事なのかよ…。


あたしは携帯をベットに放り投げ、自分もベットに倒れこんだ。


天井を見つめながら、心の奥に蓋をしていた記憶をたどる。


でも、いくらたどっても、親との楽しい思い出や、愛された記憶が全く浮かばない。


あるとすれば、『手がかからないから、楽…』と言われたくらい。