【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

風磨のことを吹っ切るため…なんて天翔には言えない。


「どうした?」


あたしは悲しい顔をしたらしい。


天翔は俯いたあたしの顔を除きこんだ。


「なんでもない」


あたしがそう言うと、天翔は「ふうん…」といって、それ以上聞いてこなかった。


あたしはあの日、もう恋愛はしないと決めた。


それなのに…。


今日のあたしは何かおかしい。


天翔なんかにドキドキしてるし、うっかりすると自分の弱いところを、見せてしまいそうになる。


天翔といると、ペースが乱れていく…。


あたしが黙りこむと、天翔はタバコを吸い始めた。


そして静かに口を開いた。