「笑うんだね」


「…は?」


「いや、無表情なのかと思ってたから…」


「…お前もな」


俺、笑ってた…?


聖夜にも『天翔は絶対笑わない』って言われるのに…。


「あたし…?」


「お前も笑わない奴だと思ってたから」


「確かに笑わないかもね…」


そう言う瞳はどこか悲しくて、輝きがない。


こいつ、過去になにかある…。


そう思わせるような瞳。


俺の瞳に似てるな…。


「あたし、帰るね」


思い出したかのように立ち上がる美桜。


その姿はどこか寂しそうだった。