「嫌」


「そう。氷の姫桜は、天翔がいないと独りぼっちだものねぇ…」


「っ…!!」


余裕たっぷりに笑う菜月は、勝ち誇ったように言い放った。


「天翔はあたしが貰うから」


美桜はしばらく俯くと、震えながら呟いた。


「あたしは…独りじゃない…」


そう言うと、ダッと美桜は走り出した。


「美桜!!」


「あーあ、行っちゃった」


クスクス笑う菜月。


追いかけようとすると、ギュッと腕に抱きつかれた。