【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

悲劇はここから始まったんだ…。


「天翔ッ」


倉庫の前でタバコを吸っていると、俺は誰かに名前を呼ばれた。


美桜ではない…どこかで聞いたことのある、不快な声…。


振り返ると、そこには金髪の派手な女…。


名前は確か…高橋菜月…。


「何しに来た?」


「冷たいなぁ、天翔は」


俺が顔を歪めると、菜月は余裕たっぷりに笑った。


「帰れ」


「嫌よ。あたし、天翔のことまだ好きなの。もう1回付き合って?」


「俺は最初から相手になんかしてねぇ」