【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

「ひでぇな…」


白くて今にも折れそうなくらい細い手首には、くっきりと赤く痕がついていた。


「松本翔太か…?」


「う、うん…」


朝、もっとはやく助けてやればよかった…。


「大丈夫だよ…?」


嘘つけ…まだ痛いくせに…。


俺は赤くなった手首をそっと撫でた。


「……ッ…!」


痛みで美桜の顔が歪む。


「無理すんなよ…」


本当はめちゃくちゃ怖かったくせに、大丈夫って強がる美桜。


なんだ…? そんな美桜を思うと胸が締め付けられる。