【完】姫桜〜君の隣で花を咲かす〜

すぐ拗ねるとか…子供みてぇ…。


大人っぽい見た目からは想像もつかねぇな。


でも、わざわざピアス届けに来てくれたんだよな…。


「そういえば、俺のピアスは?」


ドタバタしていて、まだ返してもらっていないことに気づく。


「あぁ、はい」


美桜はシルバーのピアスを俺に差し出した。


俺はピアスを見つめながら、少し考えた。


「ま、松村…?」


なかなか受け取らない俺を不思議に思ったのか、美桜が口を開く。


「それ、まだ使ってねぇし、お前にやるよ」


「へ…? いいよ、松村のだし…」


俺の予想外の返事に、美桜は驚いている。