美桜はまわりの視線を気にしているようだ。


「なんでいんの?」


俺はゆっくりドアのほうに近づいた。


「なんでって…」


「なんか用?」


「これ…」


美桜は控え目に右手を差し出した。


その長く細い指の上には、俺のシルバーのピアスが乗っていた。


「なんで持ってんの?」


「落ちていたから…」


そう言うと、美桜は俺から離れようとする。


まわりの視線が気になって、はやく帰りたいようだけど…。


「…待てよ!!」